疲れを次の日に残さない。疲れない体の作り方。
「寝ているのに疲れがとれない」
「集中力が続かない」
「最近疲れやすくなった気が……」
こんな悩みを抱えている方は多いのでは。
疲労は体だけでなく、脳やストレスからくるものも。疲れない体づくりをしていくためには日常の小さな習慣を見直していくことが大切。
そこで今回は、疲れない体を「睡眠」「食事」「運動」「ストレスケア」「思考」の5つの視点にフォーカスした科学的根拠のある方法をご紹介。
目次
- 1 人はなぜ疲れるのか?
- 1.1 理由①:睡眠不足
- 1.2 原因②:脳の疲労
- 1.3 原因③:自律神経の乱れ
- 1.4 原因④:体の歪み
- 1.5 原因⑤:食事のバランス
- 2 疲れない体をつくる5つの習慣
- 2.1 睡眠の質を高める
- 2.2 マインドフルネスと瞑想で脳を休ませる
- 2.3 体が喜ぶ食事を摂る
- 2.4 運動不足を解消する
- 2.5 物事を柔軟に広い視野で捉える
- 3 まとめ:自分に合う方法で疲れない体を手に入れよう
人はなぜ疲れるのか?
そもそも疲れとは、体がどのような状態のことを指すのか。
『スタンフォード式 疲れない体(サンマーク出版)』の著書である山田知生氏は次のように述べています。
疲労とは、「筋肉と神経の使いすぎや不具合によって体の機能に障害が発生している」状態のこと。つまり、筋肉だけでなく「神経コンディショニングの悪さ」が疲れを引き起こす
疲労は、体の酷使や生活習慣の乱れから生じるエラーとも言い換えられます。
これらを踏まえると疲労の原因は、以下の5つ。
- 睡眠不足
- 脳の疲労
- 自律神経の乱れ
- 体の歪み
- 食事のバランス
①:睡眠不足
「睡眠は心身の健康を保つ最強の薬」といわれるくらい重要。
睡眠不足になると、
- ホルモンバランスが崩れる
- 免疫力が低下し、病気にかかりやすくなる
- 肌荒れしやすくなる
- 太りやすくなる
- 集中力や記憶力が低下する
- 感情の抑制が効かなくなり攻撃的になる
- 脳に老廃物が溜まりやすくなる
といったデメリットがあります。
特にホルモンは人間の心身の健康と密接に関係しています。翌日に疲労を残さないために、7時間は確保したいところ。
②:脳の疲労
脳は体重の2%ほどの大きさにもかかわらず、体が消費するエネルギーの約20%を占めています。
しかもエネルギーの大半は、意識的な活動をしていない自動運転状態のときに使われています。
脳の自動運転状態とは、意識的な活動をしていないときのことを指します。
朝起きた流れで顔を洗う、急に嫌なことを思い出す、酔っ払っててもなぜか家に帰れたなどは全て脳の自動運転によるもの。
「自動」は便利である反面、精神的に疲れたり、無気力になったり、眠りが浅くなったりするという弊害も引き起こします。
脳を疲弊しにくくするためにも、「自分は疲れているかもしれない」ことに気づき、脳に休息を与えることがパフォーマンスの向上につながります。
③:自律神経の乱れ
過度なストレスがかかると、自律神経のバランスが崩れて身体に不調が出やすくなることがあります。
- 寝付きが悪い・熟睡できない
- めまいや頭痛、耳鳴りが頻繁に起こる
- 年中手足が冷える
- 慢性的に肩こりや腰痛を抱えている
- 気候や気圧の変化に弱い
などの「病気ではないけど調子が悪い」と感じる場合は、自律神経のバランスが乱れている可能性があります。
自律神経には昼に活発になる「交感神経」と夜に活発になる「副交感神経」があります。
簡単にいうと、内蔵や血管を自動的にベストな状態に調整する機能のこと。
その自律神経が切り替えに不具合が起きることで、結果的に疲労につながるというわけです。
④:体の歪み
体が歪むと全身の筋肉が硬くなったり、内臓が圧迫されて働きが悪くり疲労につながることもあります。
どうして体が歪むのか。その理由は、姿勢の悪さ。
姿勢が悪いまま放っておくと体のバランスが崩れて負荷がかかり、腰痛や肩こりの原因になることはご存じの方も多いのでは。
さらに体のバランスが崩れるということは、必然的に呼吸が浅くなることにもつながってきます。
呼吸が浅くなると細胞に十分な酸素が行き渡らなくなり、疲れやすくなります。
まずは自分の姿勢を振り返ってみてお腹に力を入れて歩く、スマホを見るときは下を向かない、歯を食いしばらないなど少しの意識で直せるところから変えてみましょう。
⑤:食事のバランス
実は、糖質が吸収されると上がる血糖値も疲労と深い関係が。
白米やパン、ラーメン、お菓子、清涼飲料水など糖質を多く含むものを摂取すると血糖値は急上昇していきます。
それに反応するようにすい臓からインスリンというホルモンが大量に分泌されて、今度は血糖値が急降下していきます。
血糖値が大きく下がるとイライラしたり、眠くなったり、疲れを感じたりします。
糖質が悪とはいいませんが、血糖値の上昇を抑える食物繊維を一緒に摂る、疲労回復に効果的なビタミンB1、タウリン、クエン酸などの栄養素もバランス良く摂取することが大切。
疲れない体をつくる習慣
疲れやすさとは、日常の何気ない習慣に隠れていることが分かりました。
では、疲れない体づくりに変えていくためには何をすればいいのか。
睡眠の質を高める
質のいい睡眠をとるには、眠りはじめの90分をいかに深くするかが大切。
根拠は、スタンフォード大学の西野精治教授が『スタンフォード式 最高の睡眠』のなかで述べています。
眠りはじめ「最初の90分」を深くする方法は以下のとおり。
- 寝る前90分までに入浴を終える
- 夜8時以降は暖色系の照明にする
- 部屋の室温を18~19度に調整する
- 45分以上の運動を週2回行う
- パソコン・スマホ・テレビの使用は控える
- 寝る2時間前に小説を読む
反対に寝る直前までお酒を飲みすぎた日や、夜遅くまで仕事をしていた日などはなかなか寝付けなかったり、夜中に目が覚めたりと睡眠の質は明らかに悪くなっています。
翌日になると体が重く、頭がぼーっとして仕事が思うように進まず、疲れるのも早い気が。
元気に働くためにも、しっかりと睡眠をとって疲れにくい体でいることが大切。
マインドフルネスと瞑想で脳を休ませる
疲れは脳からもくるという話をしましたが、脳を休ませる方法が「マインドフルネス」と「瞑想」。
一言で説明をするとマインドフルネスは「さまざまな気づきを得ること」、瞑想は「それを強化する手段」。
マインドフルネスや瞑想と聞くと、宗教的な香りがして敬遠する方がいるかもしれませんが、マサチューセッツ大学やイェール大学などで数多くの研究データが実証されている休息法です。
瞑想はアップル創業者のスティーブ・ジョブズが実践していたり、グーグルやフェイスブック、シスコなどの一流企業がマインドフルネス研修を取り入れています
ここでは、「マインドフルネス呼吸法」をご紹介します。
ストレス軽減や集中力アップ、感情のコントロール、免疫力アップの効果が期待できる方法ですので、興味のある方はぜひ試してみては。
マインドフルネス呼吸法の正しいやり方
- 背筋を伸ばして楽な姿勢で椅子に座る
- お尻と椅子、足の裏と床など体の状態に意識を向ける
- 呼吸の深さや胸・お腹の動きに意識を向ける
- 雑念が浮かんでも「だめ」と責めずに川に流すイメージで意識を呼吸に戻す
意識を向けるとは、お尻が椅子に触れいる感触はどうか、ピンと伸びた背筋の感覚など日ごろ気にもかけない細かいところに意識を向けること。
はじめはよくわからなくても、続けているうち、「ああ、そういうことか」と感覚がわかってくるはず。
1日5分だけでもOK。継続のコツは気が向いたら「1分だけでもやろうかな」と気楽にやること。
体が喜ぶ食事を摂る
「本当に健康にいい食事って?」「結局、何を食べていいのかわからない」こんなふうに思っている方は多いのでは。
一言に健康といっても自分がどうなりたいかで変わるので、一概に「これを食べればいい」というのはありません。
ですが、疲れない体づくりの観点から知っておくべきことをまとめてみました。
- こまめに水を飲む
- 甘いものは週1~2回までにする
- 塩分過多の食事を避ける
- 疲労回復を助ける食材を摂る(たこ、豚肉、柑橘類など)
- 抗酸化物質が含まれる食材を摂る(トマト、人参、アボカドなど)
- 食物繊維を摂る
- コーヒーは1日3杯まで
全て実践できればいいですが、何より継続することが大切。なのでまずはできる範囲で試してみてください。
甘いものとカフェインの摂取に関しては、許容範囲内で書いているので、疲れやすい方はなるべく控えるのがいいでしょう。
運動不足を解消する
運動が続かない、運動する時間がないという声をよく聞きます。
そこで、運動をする習慣がない人のためにスキマ時間でできる効果的な運動をご紹介。
- 軽く息が上がるくらいの早歩きをする
- エスカレーターを使わず階段で上り下りをする
- 息抜きに散歩
- いつもより少し遠いお店にいく
- HIIT
このように運動はまとまった時間を確保しなくても、日常生活の中で取り入れることが可能。
HIIT(ヒット)とは、負荷のかかる運動と休憩を短い時間で繰り返すトレーニングで、
数分間で絶大な効果が得られるので、時間がないビジネスマンにはおすすめです。
ミトコンドリアの量が増えて、体が疲れにくくなります。
物事を柔軟に広い視野で捉える
疲労とは無関係に思える考え方も、実は切っても切れない密接な関係が。
その理由は、ストレスによって発生する「活性酸素」。ストレスの根本原因に「思考のアンバランス」があるのです。
たとえば、あなたが仕事で大きな失敗をした場面を想像したとき、あなたはどんなことを考え流でしょうか
- 自分はどうしてダメなんだろう……
- 自分ばかりいつも失敗している
- どうせ次も失敗するに違いない
- 失敗したのは上司の指示が悪かったからだ!
- 自分ばかりに嫌な仕事を押し付けて、私はきっと嫌われている
こんなふうに考えたことは誰にでもあるはず。
確かに、上司に恵まれない人はいるかもしれませんが、人間関係がギクシャクしていることもあるかと思います。
ですが、事実なのは「あなたが仕事で失敗をした」ことのみで、根拠のない思い込みはストレスの原因となり、心の疲労につながってきます。
このような思考から生じるストレスを減らし、体内の細胞を傷つける活性酸素を増やしすぎないことも疲れない体づくりにおいて重要です。
まとめ:自分に合う方法で疲れない体を手に入れる
疲労の原因は、体だけでなく脳やストレスなど実にさまざま。
大切なのはまず、「自分が何に疲れているのか」を正しく知る。そして自分に一番合う解決方法を見つけることです。